Vol.038
白石城城主・片倉小十郎が築いた城下町の名残が今もそこかしこに見られる白石市。市内には深い歴史の中で育まれてきた伝統的な味わいや、工芸品が楽しめるスポットが盛りだくさんです。
※記載の情報が現況と異なる場合がございます。お出掛けの際には事前にご確認ください。
※価格はすべて税込です。
白石蔵王駅から車で15分ほどの距離にある鎌先温泉。その温泉街の中心部に「Cafe&Shop 粋~sui~」はあります。
木の温もりに満ちた店内には整然と商品が並べられ、まるで美術館のギャラリーのような雰囲気。「内装の木材はすべて杉の木で統一しています。2018年にオープンする時、多摩美術大学の学生に設計していただいたんです」と話してくれたのは、同店のオーナーの田切さん。
食品や雑貨など、商品は田切さんがセレクトしたものばかりです。「宮城県や白石市の名産品などを取り扱っていて、商品数は300種類を超えます。店名は「すぐれたものを集める」という思いから名付けました」という田切さんにいくつかおすすめの商品を伺いました。
まずは、同店のオリジナル純米吟醸原酒「富粋」(300ml 1,200円、720ml 2,700円、1,800ml 3,500円)。日本酒好きだという田切さんが、白石市唯一の酒蔵・蔵王酒造と造ったお酒です。「自分好みの辛口に仕上げてもらいました。冷やして飲んでほしいですね」と田切さん。
同店オリジナルの蜂蜜「耕野はちみつ(とち)」(2,200円)は丸森町の養蜂場で大切に作られた蜂蜜で、使いやすいように先細の瓶に詰めてあります。その他にも、弥治郎こけしや白石温麺など、お土産にぴったりの商品がいっぱいです。
店内には20席ほどのカフェスペースもあり、淹れたてのコーヒーや季節ごとのスイーツ、軽食などもいただくことができます。
「気軽に立ち寄って、ゆっくりとした時間を過ごしてほしいですね」と田切さん。週末には陶芸教室やアロマオイル造りのワークショップ、ドローン体験などを開催することもあるそうです。
宮城県白石市福岡蔵本字鎌先1-58-4[ 地図 ]
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Tel. 0224-26-8100
毎年5月に「全日本こけしコンクール」が開催され、多くのファンで賑わう白石市。「弥治郎こけし村」は、市を代表する工芸品「弥治郎こけし」の魅力を伝える人気スポット。こけしをイメージした円筒型の建物が目印です。
弥治郎こけしは鎌先温泉にほど近い、弥治郎地区が発祥のこけし。昔から湯治客の土産物として作られてきました。ろくろで描かれた頭部の二重、三重の輪と、胴体に色付けされた鮮やかな花柄、子どものようなあどけなさの残る表情が特徴です。
「弥治郎こけし村」は、1階にこけしの歴史を昔懐かしい写真と共に紹介する展示資料室があり、こけし造りの工程や地域ごとに異なる特徴などについて学ぶことができます。施設限定の缶バッジはお土産に人気です。
2階では弥治郎系こけし工人と白石市内在住の新型こけし工人による作品や木地玩具などを販売。子どもでも楽しめる絵付け体験のコーナーもあります。
中庭の広場には職人たちの工房が並び、地元のこけし工人の製作活動を自由に見学することができます。また隣接する通称「こけし神社」には、ろくろの神様と言われている『小野宮惟喬親王』が祀られています。山の息吹を感じられる、素朴で温かいこけしの故郷に足を運んでみてはいかがでしょうか。
宮城県白石市福岡八宮弥治郎北72-1[ 地図 ]
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Tel. 0224-26-3993
現在、白石市で唯一の酒蔵となっている「蔵王酒造」。創業は1873年、蔵王連峰の伏流水と冬の蔵王おろしの寒風、地元産の酒米という自然の恵みを活かした酒造りを行っています。
そのモットーは「盃を重ねるごとに美味くなる酒」。米の味わいを感じながらも、体にスッと馴染む酒を目指しているそうです。代表銘柄である「蔵王」に加え、若手を中心に立ち上げた「ZAO」のK(ココロ)シリーズといった、さまざまな日本酒を展開しています。
2023年にも「蔵王」の大吟醸が、全国新酒鑑評会で金賞を受賞。華やかなフルーツのような香りに加え、米の旨味と甘味を凝縮したような味わいを堪能することができます。
酒蔵に併設する「蔵王酒造展示館」は1993年にオープン。展示館限定の日本酒の販売に加え、同社の歴史や酒造りの工程紹介、道具の展示などを行っており、無料で見学することができます。
また、一年を通して酒蔵見学も可能(完全予約制)。おすすめは11月頃~翌年3月末頃までで、老舗酒蔵の酒造りの工程を間近で見ることができます。
宮城県白石市東小路120-1[ 地図 ]
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Tel. 0224-25-3355
白石城の北、三の丸外堀に当たる沢端川に面した一画に佇む「片倉家中旧小関家武家屋敷」。かつて、この辺りは片倉家に仕える中級武士の屋敷が並んでおり、小関家は片倉家の家臣の一人でした。
この屋敷は1730年に建てられたものであることが明らかになっています。農家住宅を素地として次第に武家住宅として体裁を整えたことが伺える貴重な遺構であり、宮城県指定文化財になっています。
屋敷自体は質素で素朴な造りでありながら、敷地の前面、側面を流れる清らかな沢端川や、鬱蒼とした木々が片倉家臣団の気風を今に伝え、情緒を感じさせます。
2023年には復元後、初めて茅葺屋根の本格的な葺き替え工事が行われ、屋敷内ではその記録映像を見ることもできます。
宮城県白石市西益岡町6-52[ 地図 ]
HP:http://www.shiro-f.jp/shiroishijo/residence/
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Tel. 0224-24-3030
白石市を代表するグルメといえば「白石温麺(うーめん)」。麺の長さは9センチほどと短く、素麺より一回り太く、麺の味をしっかり感じることができるのが特徴です。
その歴史は約400年前に始まり、味右衛門という若者が胃を病んだ父親のために「油を使わずに作った麺」を食べさせたところ胃病が治ったという逸話が残っています。その話が白石城主・片倉小十郎公に伝わり、息子の温かな心を讃えて「温麺(うーめん)」と名付け、藩の特産品として推奨したと言われています。
昔ながらの白石温麺を味わえるのが、きちみ製麺の直営店「手延白石温麺味見処 光庵」。「ミシュランガイド宮城2017特別版」に掲載された名店です。きちみ製麺は代々、片倉小十郎の家臣を務めた武家出身の吉見家が営んでおり、同店では、油を使わずに手延べする伝統的な製法で一本一本丁寧に仕上げた白石温麺をいただくことができます。
光庵の店舗は江戸時代に建立された茅葺屋根の建物。宮城県指定文化財である「片倉家中旧小関家武家屋敷」と同じ時代のもので、当時の梁などがそのまま残っています。店は平日にも関わらず、観光客を中心に賑わっていました。
注文したのは「三味うーめん」(1,200円)。めんつゆに加えて、ごまだれ、くるみだれといった当地に昔から伝わる食べ方でいただく一品です。温麺は麺の味が十分に感じられ、もちもちとした弾力やつるつるとした食感も存分に楽しめます。また、甘味のあるごまだれやくるみだれでいただく温麺は新鮮な味わいでした。
同店に併設する直売所では、さまざまな種類の白石温麺を販売しており、お土産などを購入することができます。
宮城県白石市本町46[ 地図 ]
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Tel. 0224-26-2565
国の天然記念物「材木岩」は、白石川上流にある「七ヶ宿ダム」から少し下った所にあります。高さ約65mの巨大な柱状の岩が約100mも続き、その圧巻の造形美が材木を立てて並べたように見えることからその名前がつけられました。
その特徴的な姿から、昔、飛騨工匠が一夜のうちに不動堂を建てようとしたものの竣工まで至らず、余った材木片が岩となったという伝説が残されています。
材木岩の対岸にある公園内には、宿駅「上戸沢宿」の検断役・木村家の屋敷を移築、復元した県指定有形文化財「旧上戸沢検断屋敷 木村家住宅」や明治時代に蚕の卵を保管するために使用された天然の冷蔵庫「材木岩氷室」といった貴重な遺構が見られます。
また農家レストラン「そば処なごみ茶屋」、農林産物直売所「小原いきいき直売所」などもあり、ゆっくりと散策するのに最適。白石川の清流など豊かな自然に癒されながら、地域の歴史を感じることができます。
宮城県白石市小原字上台[ 地図 ]
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Tel. 0224-22-1325(白石市都市整備課)
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