みやとりっぷ
Vol.013

栗駒山や伊豆沼の大自然がもたらす魅力を、五感で味わう栗原市の旅。

宮城県の北部・岩手県との県境に位置する栗原市には、栗駒山や伊豆沼・内沼などの豊かな自然によって生み出された魅力があふれています。地域の発展を支えた鉱山の見学や個性的な店が続々集まる商店街の散策、越冬する渡り鳥の観察など、ぜひ栗原で現地ならではの体験を!

※新型コロナウイルス感染拡大により、記載の情報が現況と異なる場合がございます。お出掛けの際には事前にご確認ください。

このページでご紹介するスポット

  1. 商店街に賑わいを生む古民家カフェ「Cafe かいめんこや」
  2. こだわりの一品に出会える「佐々木金物店」
  3. 清水で育った栗駒のイワナを堪能!「ハイルザーム栗駒」
  4. “くりでん”の車両や車庫を見学できる「くりはら田園鉄道公園」
  5. 1,200年の鉱山の歴史を歩いて体感「細倉マインパーク」
  6. 渡り鳥や自然を楽しく学べる「宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター(鳥館)」

商店街に賑わいを生む古民家カフェ
「Cafe かいめんこや」

江戸時代には伊達家家臣の城下町として栄え、昭和には鉱山で働く人々で賑わいを見せていた岩ヶ崎の六日町通り商店街。近年、この歴史を感じさせる商店街に雑貨店やジーンズショップなど、個性的な店が次々と誕生していることをご存知でしょうか。

そのきっかけとなったのが「Cafe かいめんこや」です。同店は京都で僧侶になるなど、異色の経歴を持つ店主の杉浦さんが、東京から移住して2015年にオープン。「人を繋ぐコミュニティの場にしたいと思い開店しました」と杉浦さんは話します。

建物は明治時代中期に建てられ、薬屋として営業していた店舗をリノベーションしたもの。店名は当時の薬屋が佐沼地区で作られていた目薬「開明香」を売っており、地元の人たちに「かいめんこや」と呼ばれていたことから名付けられました。

店はカフェとしてフードやドリンクを提供するほか、コンサートなどのイベントも頻繁に開催され、2階にはコワーキングスペースも設置される予定です。

今回は落ち着いた雰囲気の店内で、日替わりで手作りされるスイーツとドリンク「おやつセット(550円 税込)」をいただきました。

この日の「おやつ」はレモンスコーン。甘すぎず、すこし酸味があるさっぱりとした素朴な味わいはコーヒーにもぴったり。コーヒーは自家焙煎した豆を、ハンドドリップで丁寧に淹れてくれます。この日はエルサルバドル・ビクトリア農園のコーヒーで、酸味と苦みのバランスが良く、飲みやすい一杯でした。また、14種類のスパイスを使ってイチから作る看板メニューの「カレー(880円 税込)」も人気です。

取材当日も店には地域内外の人々が訪れ、杉浦さんやスタッフと交流を楽しんでいました。「人は一人では生きていけませんし、たくさんの人がいた方がおもしろいですよね」と杉浦さん。「この地域に1年に3人呼び込むことができれば、30年後に100人近くになります。等身大で自分のやりたいことをやっている人たちを増やすことで、商店街を楽しくすれば、自ずとおもしろい地域になっていくはずです」と商店街の未来を見据えた活動に奔走しています。

Cafe かいめんこや

宮城県栗原市栗駒岩ケ崎六日町86[ 地図

HP:http://www.kaimenkoya.cafe

●お問い合わせ

Tel.090-1169-1523

こだわりの一品に出会える
「佐々木金物店」

六日町商店街にある、一見カフェのようなスタイリッシュな店舗は、実は金物屋。「誰が入っても楽しい店にしたいと思っています」。そう話すのは、「佐々木金物店」の5代目・佐々木智哉さんです。

アンティークな蔵の扉や木材などを巧みに取り入れた店内には、アウトドアシーンにも使えるプロ用工具から国産の包丁、食器まで、多彩なアイテムが並んでいます。

「自分で見て、触れて、これはいいと感じた物を仕入れています」と智哉さん。お母様の桂子さんは「ホームセンターに数や価格ではかなわないので、品質にこだわっています」と説明してくれました。

店の創業は昭和元年。その頃、馬産地として栄えていた栗駒地区で元々は馬の蹄鉄屋を営んでいました。店内には当時、使用していた蹄鉄の器具も飾られています。智哉さんが「その後、日用雑貨や窓サッシなどを取り扱うようになり、車が普及してからは車の部品なども扱っていたみたいです」と話すように、地域の歴史と共に歩んできた同店。一昨年、智哉さんお店を継いでからは、さらにさまざまな商品を販売するようになったそうです。

最近の売れ筋は「石見焼きすり鉢」。「店頭に置くと、すぐに売り切れてしまいますね」と桂子さん。また、現在品薄になっているSTAUBの鍋なども入荷されていました。店で気になった商品は智哉さんや桂子さんが丁寧に教えてくれます!

これまでは作業員などのお客さんが多かったという同店ですが、近頃は若い女性もよく訪れるようになったと智哉さん。「『この店のおかげで仙台に買い物に行かなくてもいい』と言われた時はとても嬉しかったですね」。宝探し気分でショッピングを楽しめる、商店街の金物屋です!

佐々木金物店

宮城県栗原市栗駒岩ケ崎六日町30[ 地図

●お問い合わせ

Tel.0228-45-2204

清水で育った栗駒のイワナを堪能!
「ハイルザーム栗駒」

栗原市の栗駒耕英地区は、1971年にイワナの養殖に日本で初めて成功した地域です。栗駒の清流で約2年の歳月をかけて大切に育てられるイワナは、身が引き締まり大変美味と評判。栗駒を代表する魚として愛されてきましたが、岩手・宮城内陸地震、東日本大震災と二度に渡って大きな被害を受けました。地域の飲食店ではその困難を乗り越えようと、さまざまなイワナ料理を提供しています。

今回は栗駒山の麓にある健康増進施設「ハイルザーム栗駒」のレストラン「栗駒」でイワナのフリッターがのった「イワナ丼(1,200円 税込)」をいただきました。

イワナは身を開いてから一度素焼きにすることで香りを引き立てるとともに、皮と身の間にある甘い脂をしっかり味わえるように調理されています。フリッターのふわっとした口当たりと、イワナのパリッとした食感を楽しむことができ、甘じょっぱいタレとご飯の相性も抜群です。

ほかにも同じくイワナのフリッターがトッピングされた栗駒山麓ジオパーク特産商品「くりこま高原カレー(1,100円 税込)」なども人気ですが、今年同レストランのイワナ料理がテレビで取り上げられたこともあり、入荷状況によってイワナが品切れになっていることもあるのでご注意を!

また、ハイルザーム栗駒には露天風呂もある温泉が営業しているので、イワナをいただいた後や観光の途中に、ゆっくりと体を温めるのもおすすめです!

ハイルザーム栗駒

宮城県栗原市栗駒沼倉耕英東50-1[ 地図

HP:http://eeonsen.com

●お問い合わせ

Tel.0228-43-4100

“くりでん”の車両や車庫を見学できる
「くりはら田園鉄道公園」

「くりでん」の愛称で親しまれ、2007年に廃線になったローカル線「くりはら田園鉄道」。「くりはら田園鉄道公園」は実際の車両や資料を展示している「くりでんミュージアム」、乗車体験ができる「くりでんアトラクションゾーン(旧若柳駅)」、機関車をモチーフにした遊具などで遊べる「くりでん芝生広場」で構成されたテーマパークです。

「くりでんミュージアム」では車庫や車両などを見学することができます。機関車庫に展示されている車両「KD10形」は乗り込むことができ、営業当時の車内の雰囲気を味わえるほか、運転席では運転シミュレーター(300円 税込)も。本物の運転台を使ったシミュレーターは、国内では珍しく、実際の路線を再現した映像の中で運転技術を競うことができます。

機関車庫に併設する修繕庫に展示された工具は、営業当時の配置にするというこだわりよう。客車庫では「KD95形」の車両を見学しており、施設オリジナルムービーなども上映されています。また、それぞれの車庫自体も大正から昭和にかけての建築技法を伝える貴重な遺構になっています。

資料館には全線を再現した全長16mの「くりでんジオラマ」や鉄道の歴史、駅員の仕事を紹介するパネルなど、さまざまな資料や展示が所狭しと並んでいます。

「くりでんミュージアム」から道路を挟んだ反対側があるのが、旧若柳駅の駅舎・ホームを中心にした「くりでんアトラクションゾーン」。ここでは内燃機関車「DB101」や軌道モーターカー「TMC-100F」、電気機関車「ED203」などを見学することができ、冬季外には、走行する「KD95」の「乗車会(300円)」や線路の上を走る「レールバイク乗車会(500円)※雨天中止」なども実施しています。

くりはら田園鉄道公園

宮城県栗原市若柳川北塚ノ根17-1[ 地図

HP:https://kuridenrailpark.wixsite.com/kuriden

●お問い合わせ

Tel.0228-24-7961

1,200年の鉱山の歴史を歩いて体感
「細倉マインパーク」

平安時代初期に発見された細倉鉱山の歴史を、坑道を歩きながら学べる「細倉マインパーク」。2016年にリニューアルオープンし、展示内容を刷新しました。

細倉鉱山は江戸時代中期には鉛を産出する鉱山として栄え、昭和には国内第2位の生産高を挙げる鉛・亜鉛鉱山として日本の高度経済成長を支えましたが、その後の円高や不況の影響により1987年に惜しまれながら閉山。2007年に日本の近代化に貢献したことが評価され、近代化産業遺産群の「東北鉱山」の一つに認定されました。

777mの観光坑道の中は、ぬれた岩肌がむき出しになっており、年間を通して15度前後の気温に保たれています。道中には坑内事務所でのやり取りや削岩、発破点火など作業の様子を再現したリアルなマネキンを随所に設置。大きな空洞として残る迫力ある採掘跡からは、当時の採掘作業の苦労をうかがうことができます。

また、現在は新型コロナウイルスの感染予防により休止されていますが「砂金採り体験」も可能。坑道の折り返し地点には、営業当時に照明として使われていた「カンテラ」を空き缶で再現した幻想的な光景が広がっています。

坑道に併設された鉱山資料館には、細倉鉱山や栗駒地区の歴史が学べる写真やパネル、ジオラマなど展示物が充実。売店では世界各地の鉱石や施設のオリジナルキャラクター「マイン坊や」のグッズも手に入ります。

細倉マインパーク

宮城県栗原市鶯沢南郷柳沢2-3[ 地図

●お問い合わせ

Tel.0228-55-3215

渡り鳥や自然を楽しく学べる
「宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター(鳥館)」

栗原市・登米市にまたがる伊豆沼と内沼には、鳥類や魚類、昆虫など多種多様な生き物が生息。1985年には国内2例目のラムサール条約の登録湿地に指定されており、特に冬から春にかけては、国内有数の渡り鳥の飛来地として知られています。

沼で見られる代表的な鳥は、極東ロシアからやって来るオオハクチョウ、マガンなど。これまで確認された鳥類は240種類を数え、これは日本で確認された鳥類の4割を超える多さです。

鳥を中心に、沼の自然について学べるのが伊豆沼の北側に位置する「宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター(鳥館)」。1991年に開館し、2015年にリニューアルオープンした同施設。ハクチョウが羽を広げた姿がモチーフになっています。

「この施設の展示などは、すべて研究者の成果がベースになっていて、標本は実物にするなど、細部までこだわっているんですよ。それらを見て、伊豆沼に興味を持ってもらえれば嬉しいですね」。そう話すのは、同施設を管理する菊地さんです。

1階は「伊豆沼・内沼の生き物」がテーマ。直径16mの大きな航空写真の上には、沼を象ったテーブルがあり、引き出したり、覗いたり、触ったりと、沼の自然が体感できるようになっています。また、高さ4.5mの壁面にはマガンやオオハクチョウの暮らしぶりを紹介するなど、子どもから大人まで楽しめる展示や設備が目白押し。伊豆沼で捕獲された縁起のいい「黄金ナマズ」も待っています!

2階の伊豆沼側はビューラウンジになっており、ライブカメラやフィールドスコープで伊豆沼の鳥や自然をじっくり観察できます。さらに「伊豆沼の歴史と未来」を見つめる展示ゾーンには、渡り鳥の研究に使われる首輪型の標識やマガンの頭骨などのさまざまな標本を設置しており、沼の歴史や人と自然との関わり、最新の研究成果などを分かりやすく学ぶことができます。

菊地さんは「やはり施設だけではなく、伊豆沼・内沼のフィールドで実際に鳥たちの様子を観察してほしいですね。特に早朝や夕方の風景は感動ものですよ!」と語ります。

その話のとおり、夕方に現地を訪れると、空には四方から一斉に伊豆沼にもどって「ねぐら入り」するマガンの姿が。周囲の音をかき消すほどの鳴き声など、菊地さんが「世界に誇る風景」と話す絶景に出会うことができました。写真で伝えられないのが残念ですが、同施設では定期的に観察会なども行っているので、ぜひ現地で冬ならではの感動を味わってみてください。

宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター(鳥館)

宮城県若柳字上畑岡敷味17-2[ 地図

HP:http://izunuma.org/

●お問い合わせ

Tel.0228-33-2216

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