Vol.009
仙台市中心部から北へ車で40分ほど。黒川郡大和町には、町のシンボルである7つの山々・七ツ森の自然の恵みを活かしたおいしいものや、こだわり抜いたハンドクラフトがそろっています。その中から知る人ぞ知る、地域の魅力をピックアップしました!
※新型コロナウイルス感染拡大により、記載の情報が現況と異なる場合がございます。お出掛けの際には事前にご確認ください。
大和町の豊かな自然のもと造られるワインで高く評価されているのが、県内最大級の規模を誇るワイナリー「了美Vineyard&Winery」です。赤崩山の麓に位置する牧場跡地を利用した約15haの広大な敷地は、日当たりがよく、風と水の通りもぶどう栽培に最適。ぶどうの木々が整然と連なる姿は美しく、収穫期には一房ごと丁寧に摘み取られ、圧縮・発酵を経て、静かに熟成されます。
ワイナリーが目指すワインは「人を魅了する美しのワイナリー」。そのクオリティは国内外の数々のワイン審査会で認められており、最近ではアジア最大級のワインコンペティション「サクラアワード」で「甲州シュールリー2019」などの5銘柄が、パリで開催された「フェミナリーズ世界ワインコンクール」では「甲州プライベートリザーブ2019」などの3銘柄が金賞を受賞しています。
ぶどう畑の丘の上には、直営ショップとレストランが営業しています。直営ショップでは自社ワインをはじめ、ワインと共に味わいたい地域の特産品や自家製の「ガトーショコラ(648円 税込)」などが手に入り、ワイングラス(660円 税込~)をいただくこともできます。
ワインと料理のマリアージュをコンセプトにしたレストラン「了美Wine&Dine」は、昨年4月にオープン。目の前に広がるぶどう畑や七ツ森の山々を望みながら、七ツ森(7つ盛り)前菜が付いた「マリアージュランチ(1,650円 税込~)」など、地元食材や敷地内の畑で採れる新鮮な野菜を使用したメニューや、さまざまなワインが楽しめます。
宮城県黒川郡大和町吉田旦ノ原36-15[ 地図 ]
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Tel.022-725-8370
実は大和町は、蕎麦の生産量が宮城県トップ。喉ごしがよく、風味豊かな蕎麦を味わえる店もたくさんあります。その蕎麦をはじめ、天丼やうなぎなど地元産の食材を使った、本格的な和食を堪能できるのが「里山Dining 七ツ母里(ななつもり)」です。料理に腕を振るう親方は仙台市内の老舗ホテル、寿司屋などで経験を積み、長町にご自身の店をオープン。その後、2013年に現在の場所で、新たな店を開きました。
今回は季節の旬の素材が味わえる「初夏の七ツ母里膳(2,000円 税込)」をいただきました。蕎麦は一年中新そばを楽しめるようにと全国からそば粉をお取り寄せ。自家製粉された手打ち蕎麦は香ばしさと味わいが十分に感じられる逸品です。
町内の「コブレンツ」で手作りされた無添加ソーセージは、同店で作られるバッケ(ふきのとう)味噌が練り込まれたオリジナルメニューでお肉の旨味、バッケ味噌の爽やかな香りとほろ苦さが絶妙。
大和町へ訪れたら、ぜひ食べたいのが「伊達いわな」です。伊達いわなは大和町を流れる吉田川源流域の清冽な水を使って養殖されたブランド魚。大型で身が締まっており、しっかりとした肉質が特徴です。店では町内の「菅原養魚場」で生産環境やエサを厳重に管理して育てられたものを使用。朴葉味噌、地元で収穫された舞茸などと朴葉に包み焼きにされた伊達いわなはクセがなく、ほんのりと上品な甘味が感じられます。また新鮮な伊達いわなは、お刺身(800円 税込)もおすすめです。
その他にも夏野菜の天ぷらや穴子ときゅうりの海苔巻きなど、小鉢の一品まで、ほとんどの素材が地域のもの。店の目の前の畑で獲れたばかりのものもいただけます。「七ツ母里膳」は前日までに予約すると土釜ごはん、コーヒー、デザートが付くのもうれしいポイントです。
宮城県黒川郡大和町宮床長倉19[ 地図 ]
HP:https://www.facebook.com/sendaimori
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Tel.022-341-1183
「台ヶ森焼」の生産工場として体験・製作を行っている「百窯の里 七ツ森陶芸体験館」。台ヶ森焼は、この地域の土に着目して約50年前に開窯初代窯元・安部勝斉さんが創作したもので、複雑で美しい色合いが特徴の陶器です。今回は二代目窯元・安部元博さんが案内してくれました。
敷地内には登り窯や穴窯、倒炎式角窯など、7種類の窯がそろい、一つの施設にある窯の数としては何と日本一!登り窯の入り口には、それぞれの窯で焼かれた作品が並べられ、火の当たり方による焼き上がりの違いが一目瞭然です。
陶器づくり体験は「手びねりコース」と「絵付け体験」の2コースを用意。安部さんは「皿やカップだけではなく、何でもご自身の好きな物を作ってほしいですね」と話します。手動ろくろを使う手びねりコースも丁寧に指導してくれるので初心者の方でも安心です。
館内では安部さんが手掛けた器や置物なども手に入ります。作品の土や釉薬は化学薬品を使わずに、ほとんど地元の素材を使用しているそう。「手間暇はかかりますが、この土地じゃないとできない作品を目指しています」と安部さん。
また、安部さんは2014年に「莫迦焼締(ばかやきしめ)」という手法を開発。成功率が非常に低い「灰かぶり」という焼成と、金ブラシでの研ぎ出しを何度も繰り返し、一つの作品が完成するまでには、1年以上もかかるとか!しかし、その古くて新しい独特の風合いと、使い込むと変化する色や手触りは他の陶器には見られないものです。ちなみに、この作品を見たお客さんに「なぜそんなバカみたいに手間をかけて作るのか?」と言われたのが名前の由来とのこと。
最近ではiPhone/iPad用の陶磁器製スピーカー「陶響(とうきょう)」を発表。実際に音を鳴らしてみると、デジタル音の角がとれたような、丸みのある音の広がりが楽しめます。安部さんは「焼き上がるまで、どんなものができるかわからないのが楽しいですね」と陶器の魅力を語り、さらに「トライアンドエラーを繰り返しながら、挑戦していきます」と新たな作品づくりに意欲を見せています。
宮城県黒川郡大和町宮床高山120[ 地図 ]
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Tel.022-346-2377
大和町には、全国にその名が知れ渡るブランドがあります。その一つが革製品の製作・販売を行っている「サムライクラフト」です。ブランドは17年前に代表製作者の立田さんが立ち上げ、3年半前に工房を併設した店舗「サムライクラフト大和本店」をオープン。高度な技術によるハンドクラフトの数々は、業界でも一目置かれています。今回は店内や商品を、普段は製作をメインに担当している稲塚冬馬さんにご案内いただきました。
まず店内に入って驚くのが、洗練された空間に陳列されたアイテムの豊富さ!財布を中心にバッグやベルト、小物など、ラインナップされている幅広い商品は自社工房で一つひとつ丁寧に手作りされたものです。稲塚さんが「デザイン性はもちろんですが、使いやすさにもこだわっています」と話すとおり、老若男女問わずに使えるアイテムが並んでいます。
その中でもサムライクラフトの技術の高さを表しているのが、レザーカービング(彫刻)が施された財布やバッグです。「サムライクラフトといえばカービングと言われますね」と冬馬さん。幾何学模様を思わせる、繊細で流れるように彫られたフラワーパターンは見事の一言に尽きます。
ブランドを立ち上げたきっかけとなった代表モデル「LONG WALLET A-1(51,920円 税込)」も人気で、珍しいものでは伝統工芸で知られる甲州印伝の財布なども。
また、サムライクラフトでは財布のセミオーダーも可能です。革の素材や色からボタンの種類、細部のステッチまで自由に好みのものを選ぶことができ、自分だけの一品を作ることができます。購入した革製品は、無料でオイルメンテナンスを行ってくれるなどアフターフォローも手厚く、使えば使うほど味わいが深まる「一生もの」の魅力に取り込まれてしまいそうです!
宮城県黒川郡大和町吉岡まほろば2-3-3[ 地図 ]
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Tel.022-739-7494
江戸時代、現在の大和町吉岡には奥州街道と出羽街道の宿場町・吉岡宿があり、黒川郡の中心の宿場町として賑わいを見せていました。5年前には、吉岡宿が舞台の史実を書き記した『国恩記(こくおんき)』を題材にした映画『殿、利息でござる!』が公開。「吉岡宿本陣案内所」は、この映画上映に合わせてオープンした観光案内所で国恩記の内容や歴史的な背景の説明、地域の特産品・関連グッズの販売などを行っています。
国恩記の紹介コーナーでは、資料の展示やパネルなどに加えて、常駐するガイドさんが丁寧に説明してくれます。展示物の中には江戸時代に大和町内で製茶業を営んでいた菅原屋が、京都の左大臣・九条尚実(くじょうなおざね)から贈られた茶銘を刻んだ看板などの貴重な資料も間近で見られます。
大和町の特産品が並ぶコーナーには、先述の茶銘に由来して名付けられた煎茶「茶匠特製 春風(80g 1,080円 税込)」、七ツ森の山で養蜂されたニホンミツバチの蜂蜜「七ツ森の恵み はちみつ(100g 1,080円 税込)」など、地域ならではの特産品が充実。その中でも人気なのが「喜利飴(250円 税込)」です。
この飴は毎年12月に吉岡八幡神社で開催される良縁結びのお祭り「島田飴まつり」に使用される「島田飴」を手掛ける職人が、一粒一粒作りあげたもの。良縁を引き寄せる縁起物として県内外のお客さんに人気です。サムライクラフトの吉岡宿本陣案内所限定の本革キーホルダー(1,100円 税込)などオリジナル商品も豊富です。
また地域内にはかつての面影を残す寺社や建物が点在しており、吉岡宿本陣案内所ではまち歩きガイド(要予約)を実施しています。のんびりと散策しながら、江戸時代の名残を感じてみてはいかがでしょうか。
宮城県黒川郡大和町吉岡字上町31-1[ 地図 ]
HP:https://www.facebook.com/taiwabussan(大和町観光物産協会)
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Tel.022-345-7501
宮城県黒川郡宮床村(現在の大和町宮床)出身で、その美貌と才能をうたわれたアララギ派の女流歌人・原阿佐緒。歌人たちとの悲恋などにより、波乱に富んだ人生を送り、時には非難を浴びましたが、彼女の詠んだ歌は叙情的で女性らしい繊細な感覚に満ちており、多くの人々に受け入れられています。「原阿佐緒記念館」は1883年に建てられた彼女の生家を修復、一部改築し、1990年に記念館として公開されました。
記念館には生い立ちから歌人としての活動、晩年までを説明するパネルや、彼女が過ごした部屋がそのままの形で残されており、激動の人生の足跡を辿ることができます。
また、彼女の日記や初版の歌集、絵画といった作品、与謝野晶子をはじめとした文人との書簡など、貴重な資料が数多く展示されており、期間限定の企画展が催されることもあります。
建物は明治時代初期に流行した擬洋風建築で、伝統的な土蔵造りを洋風建築に応用したもの。細部の意匠も美しく、レトロな建物好きの方も十分に楽しむことができます。
宮城県黒川郡大和町宮床字八坊原19-2[ 地図 ]
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Tel.022-346-2925
鳥のさえずりや木の葉がさざめく音しか聞こえない七ツ森の麓に、隠れ家のように佇む古民家カフェ「モカモアコーヒー」。築百年余の古民家を改修した同店では世界中から厳選し、自家焙煎したコーヒー豆を販売しているほか、店内ではハンドドリップで丁寧に淹れたコーヒーを味わえます。
店を訪ねると、キャバリアのモカ店長が出迎えてくれました!ファンが多いモカ店長のオリジナルグッズは、品切れになるほどの人気です。
今年オープン12周年を迎えたお店のこだわりは、何と言ってもコーヒーの味わい。国内外のコーヒー産地の中から最高級の評価を獲得したスペシャルティコーヒー豆が常時7、8種類ほどラインナップ。それぞれの特徴に合わせて焙煎しています。
今回は数種類の豆から選べる「自家焙煎コーヒー(580円 税込 日替りで1種類100円引き)」の「ブラジルプレミアムショコラ」をいただきました。「焙煎したて・挽きたて・淹れたて」の風味豊かな一杯は口当たりが良く、しっかりした甘味の中に心地良い苦みが感じられます。
モカモアコーヒーではこれらのコーヒーの味を引き立てるメニューも充実。素材を厳選した「チーズケーキ(460円 税込)」などの自家製スイーツ、「ホットサンド(340円 税込)」といった軽食、さらに「七ツ森スカッシュ(480円 税込)」などのオリジナルドリンクも楽しめます。なお、スイーツや軽食はドリンクとセットで20円引きになります。
晴れた日には、テラス席もおすすめ。お店で喫茶を担当しているきのこさんは「今はコロナウイルスの影響で窮屈な想いをされている方が多いと思います。ぜひ、この自然の中でのんびりと過ごして欲しいですね。特にこれからの季節は周囲一面、緑に包まれるので気持ちいいですよ」と話してくれました。
宮城県黒川郡大和町宮床字松倉77[ 地図 ]
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