みやとりっぷ
Vol.026

かつて東北の中心として栄えた多賀城で、
悠久の歴史や名店・新店を巡る旅。

古代東北の政治・文化の中心として繁栄した「多賀城」の史跡や、貴重な出土品などが深い歴史を物語る多賀城市。2024年の多賀城創建1300年に向け、多彩なイベントが目白押しです。一足早く、地域の名所や名店・新店を巡ってみてはいかがでしょうか。

※新型コロナウイルス感染拡大により、記載の情報が現況と異なる場合がございます。お出掛けの際には事前にご確認ください。
※価格はすべて税込です。

このページでご紹介するスポット

  1. 東北地方の古代から近現代までを辿る「東北歴史博物館」
  2. 古代都市の出土品を見学できる「埋蔵文化財調査センター展示室」
  3. 創建1300年に向けて整備が進む「多賀城跡」
  4. 絶品のナポリピッツァを気軽に「PIZZERIA DB」
  5. 地域の多彩な魅力を発信「community cafe & guided tour タガの柵」
  6. 行列ができる本格パティスリー「MURATA」

東北地方の古代から近現代までを辿る
「東北歴史博物館」

JR東北本線「国府多賀城」駅に隣接する「東北歴史博物館」には、常設展として東北地方の歴史・文化を紹介する「総合展示室」のほか、「テーマ展示室」、「映像展示室」、「特別展示室」があります。

総合展示室では、旧石器時代から近現代までの東北の歴史を、時代別に9つのコーナーに分けて展示しています。展示室に入ってまず目を引くのが、縄文時代のコーナーにある、大きな竪穴住居。これは3500年前の縄文時代後期の住居跡をもとに復元されたもので、古代の人々の暮らしが想像できます。

その他にも館内には東北地方の歴史を物語る史料や、各地の信仰や文化に迫る展示が盛りだくさん。順を追って見学すると、東北の今へつながる、悠久の流れを体感することができます。

近現代コーナーでは昭和の雑貨屋を再現した展示も人気。駄菓子や商品、ブラウン管テレビなど、昭和レトロの雰囲気を堪能できます。

屋外には石巻から移築した、江戸時代の農家の民家「今野家住宅」があり、築250年を超える住宅内では、家具や置物などから当時の暮らしぶりが感じられます。

また、館内では自家製古代米を庭園の絶景を眺めながらいただける「古代米屋レストラン グリーンゲイブル」や、オリジナルグッズなどが揃うミュージアムショップも営業しています。

東北歴史博物館では「特別展」を毎年3、4回開催しています。2023年1月14日から3月12日までは、人気マンガ『キングダム』の描き下ろし原画などが見られる「キングダム展 -信-」を開催予定ですので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

東北歴史博物館

宮城県多賀城市高崎1-22-1[ 地図

HP:https://www.thm.pref.miyagi.jp

●お問い合わせ

Tel.022-368-0106

古代都市の出土品を見学できる
「埋蔵文化財調査センター展示室」

奈良時代から平安時代にかけて、東北の政治・文化・軍事の拠点であった多賀城。その南には都市とも呼べる、区画されたまち並みが広がっていました。多賀城市文化センター内にある「埋蔵文化財調査センター展示室」の常設展『古代都市多賀城』では、発掘調査によって出土した資料をもとに、この古代都市の様子を紹介しています。

2022年12月18日までは常設展に代わって、企画展『令和4年度企画展 多賀城 -祈りとまじないの世界-』を開催しています。奈良・平安時代の祈り、占い、呪術、まじないといった当時の文化に焦点をあて、多くの人が興味を持ちやすい展示内容です。

展示物は、常設展と同様、多賀城で出土したものが中心。呪文や魔除けの記号が刻まれた土器、罪や災いのもとである「穢れ(けがれ)」を取り払って異界に流すために用いられた「人面墨書土器」や「形代(かたしろ)」など、独特の出土品を見ることができます。

また、かつて井戸は異界に通じるものとされ、水神や土公神(どこうじん)が宿ると信じられてきました。この企画展では直径85cmの大木の内側をくり抜いて作られた井戸が展示されています。これは、陸奥国の長官が暮らした邸宅「国守館(くにのかみのたち)」の井戸で、そのスケールから財力の大きさをうかがい知ることができます。

上の階には、江戸時代に作られ、魔除けの記号が刺繍された護摩壇様の幟(のぼり)を展示しています。陰陽師の儀式を再現したコーナーは、撮影スポットとしておすすめです。

常設展は無料で見応え充分なので、ぜひ見学してみませんか。

埋蔵文化財調査センター

宮城県多賀城市中央2-27-1[ 地図

HP:https://www.city.tagajo.miyagi.jp/shiseki/bunkazai/

●お問い合わせ

Tel.022-368-0134

創建1300年に向けて整備が進む
「多賀城跡」

多賀城は724年、奈良時代の武将・大野東人(おおののあずまひと)によって創建され、11世紀の中頃まで、東北の政治・文化・軍事の中心地として栄えました。その城跡は、奈良県の平城宮跡、福岡県の大宰府跡と共に日本三大史跡の一つといわれ、国の特別史跡になっています。

これまで史跡には、建物はありませんでしたが、創建1300年を迎える2024年に向けて、南門などの復元が進められています。

2022年10月には「城前官衙(じょうまえかんが)」地区にあった兵士を監督する軍事担当の役所の建物など10棟の整備がほぼ完了し、公開されています。

史跡を訪れて感じるのが、そのスケールの大きさ。城内は約93haという広大な敷地を誇り、高台の頂上にある「政庁跡」へ向かう歩道を一歩一歩踏みしめながら、古代都市の中心地であった歴史に思いを馳せることができます。

政庁跡は、城内で最も重要な場所で東西103m、南北116mの築地塀で囲われ、重要な政務や儀式が執り行われました。春には花見スポットとしても知られているこの場所は開放的で穏やかな空気が流れ、昼時にはお弁当を楽しむ人たちの姿も見られました。

また、城跡の目の前には、国の重要文化財になっている「多賀城碑」が建っています。石碑は日本三古碑の一つといわれ、石の表面には、当時の都であった平城京や隣接する国々から多賀城までの距離や、創建の歴史などが刻まれています。

なお、この石碑は平安時代以来、歌枕として詠まれた「壺の碑(つぼのいしぶみ)」であるとされ、松尾芭蕉もこの碑を訪れて感動した様子が、紀行文『おくのほそ道』に残されています。

市街地から少し離れた史跡を、ゆっくりと散策してみてはいかがでしょうか。

多賀城跡

宮城県多賀城市市川城前[ 地図

HP:https://www.city.tagajo.miyagi.jp/bunkazai/shiseki/bunkazai/shitebunkazai/kunishite/terato.html

●お問い合わせ

Tel.022-368-1141(多賀城市教育委員会事務局文化財課)

絶品のナポリピッツァを気軽に
「PIZZERIA DB」

2022年3月にJR仙石線「多賀城」駅近くにオープンした「PIZZERIA DB」。店の中央に設置された薪釜で、慣れた手つきでナポリピッツァを焼き上げるのは、店主の藤村さんです。

藤村さんがナポリピッツァ職人の道を志したのは、約10年前のこと。「当時勤務していた福祉施設で、活動の一環としてピザ作りに携わっていたことがきっかけです」と藤村さん。県内外の有名店で腕を磨き、本場・ナポリでも修業を重ねた藤村さんは、2015年にナポリピッツァの日本大会で準優勝。満を持して、PIZZERIA DBを開店しました。

今回いただいたのは藤村さんが「ナポリピッツァの中でも歴史が古く、代表的なメニューです」と語る「マリナーラ」(1,100円)。トマトソース、ニンニク、オレガノ、塩といった本場のトッピングに、同店ではバジルやミニトマトなどを加えてアレンジ。シンプルだからこそ素材や焼き加減が際立つ1枚です。熱々のピッツァを頬張ると、もちっとした食感の生地にフレッシュなトマトソースやバジルなどの香りが食欲をそそり、1人で1枚をペロリと食べることができました。

「ナポリでは日本のラーメン屋のように、ピッツェリアがあちこちにあり、フォークやナイフを使って1人1枚食べるのが当たり前でした。いつかそんな文化を根付かせたいですね」と藤村さん。商品はテイクアウトも可能です。ぜひ、店内やご自宅で本場の味わいをお楽しみください。

PIZZERIA DB

宮城県多賀城市中央2-3-22 八島ビル1F[ 地図

●お問い合わせ

Tel.022-762-5388

地域の多彩な魅力を発信
「community cafe & guided tour タガの柵」

JR東北本線「陸前山王」駅の目の前にある白い壁の店舗、ここが2014年にオープンした「community cafe & guided tour タガの柵(き)」です。同店は多賀城周辺を巡るガイドツアーや、人と人を繋げるコミュニティ活動の交流拠点になっています。

「史跡をはじめ、食べ物や自然など、多賀城の魅力をもっとたくさんの人に知ってもらいたいと思っています」と話すのは、タガの柵の代表として、コミュニティ活動を展開している松村さん。かつての多賀城の地名であるタガの柵という屋号には、地元への想いが込められています。

多賀城という地名は、奈良時代に「賀(おめでたいことやうれしいことなど)が多い地域」になることを願って付けられたという説があります。タガの柵ではこの想いを受け継ぎ、「多賀城の 嬉しき、楽しき、面白き をここから」というスローガンを掲げています。

店内では古代米など地元の物産品が並び、多賀城にまつわる本が集められた「タガの柵文庫」といったコーナーも。店内でいただける軽食メニューにも、ご当地ならではのものがあり、古代米で作られる「阿久玉餅(あくたまもち)」は、多賀城に縁のある坂上田村麻呂が愛したといわれている、悪玉御前の伝説にちなんだものです。

「歴史という入り口だけだと、どうしても間口が狭くなってしまうので、さまざまなものをそろえています。多賀城を知るきっかけになってほしいですね」と松村さん。多賀城観光の初めに立ち寄って、地域の情報を入手するという利用の仕方もできそうです。

community cafe & guided tour タガの柵

宮城県多賀城市山王字千刈田6-3[ 地図

HP:http://taganoki.wixsite.com/home

●お問い合わせ

Tel.022-702-3277

行列ができる本格パティスリー
「MURATA」

オープン前から行列ができる、パティスリー「MURATA」。同店のシェフ・パティシエ叢田一範さんの両親が、1968年から営んでいた和洋菓子屋「SHISEIDO」を2008年にリニューアル。叢田さんの手によって、現在の本格的なフランス菓子などが作られるお店へと生まれ変わりました。「マカロンすら誰も知らない頃から作っていて、受け入れられるまでは時間がかかりましたね」と振り返るのは、一範さんの奥様で店長の叢田せい子さん。次第に同店の評判は広まり、現在では地域屈指の人気店となりました。

叢田さんが「最高の食材、最高の技術で、地域の人に安らぎや喜びを提供することを目指しています」と話すスイーツは、どれも高いクオリティです。

「マカロン」(237円~)には、アーモンドの女王と呼ばれるスペイン産マルコナ種を100%使用。その高貴な香りを逃さないように、作る度に製粉しており、さらに上新粉を配合することで、クリームの口溶けに和の余韻を感じさせる一粒に仕上げています。

発売から36年、進化を続けてきた「クリームブリュレ」(529円)は、オーダーを受けてから喜界島の島ザラメを香ばしくキャラメリゼし、プリンの上に添えるというこだわり。おすすめの食べ時は、キャラメルが少し溶け、黒蜜状になった頃とのこと。タヒチ産バニラを使用したクリームと混ざり合い、甘さの中にほのかな苦味が感じられる、他にはない味わいです。

「和栗モンブラン」(583円)は、青森県弘前市の小栗山で収穫された栗を使用。素材の風味を最大限に活かし、旬の栗のほっくりとした豊かな味わいが堪能できます。

その他にもカカオ豆の仕入れから商品化までを一貫して行う「ビーントゥバー」にこだわったチョコレートなど、一つひとつにこだわりがこめられた商品が並びます。

「マカロン1つとっても、何年もかけて現在のかたちになりましたし、これでいいと満足することはありません。これからも少しでもいいものを目指していきたいですね」と叢田さん。店を訪れるのは、比較的空いている11時頃から14時頃がおすすめです。

MURATA

宮城県多賀城市町前3-2-25[ 地図

HP:https://www.kazunoli-mulata.com

●お問い合わせ

Tel.022-362-7767

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