みやとりっぷ
Vol.057

港町・女川町で、創造力に満ちた
個性豊かなスポットに出会う。

三陸の港町・女川町には、駅前エリアを中心に、こだわりやアイデアが光るユニークな店舗や施設が点在しています。ここでしか味わえない逸品が揃う飲食店やカフェ、海と森に包まれるサウナなど、創造力に満ちた個性豊かなスポットをご紹介します。

※記載の情報が現況と異なる場合がございます。お出掛けの際には事前にご確認ください。

※価格はすべて税込です。

このページでご紹介するスポット

  1. 温もりあふれるカフェでほっとひと息「小さな珈琲屋さんGEN(佐藤貞商店)」
  2. 自家醸造ビールで楽しい時間を!「ガル屋beer」
  3. 島の恵みをサウナで体感!「JUURI SAUNA(ユーリサウナ)」
  4. ホヤやジビエ料理が自慢「洋食レストランりぼん」
  5. 優しいおいしさのスパイスカレーがやみつき「Blue Coral Reef(ブルーコーラルリーフ)」
  6. 誰もが思い思いに過ごせる「女川町海岸広場」

温もりあふれるカフェでほっとひと息
「小さな珈琲屋さんGEN(佐藤貞商店)」

1960年代に開店して以降、日用品や食料品などを販売する店として女川町民に親しまれてきた「佐藤貞商店」が、2020年7月にリニューアルオープン。新たにカフェとフリースペースを備えたお店として再出発しました。

お店を営むのは、佐藤雅裕さんと妻の由理さん。ご夫妻は女川町の役場職員として、東日本大震災からの復興に尽力してきました。その中で地域の人たちが集まれるスペースを作りたいと感じ、退職後に雅裕さんの実家で営んでいた佐藤貞商店を引き継ぎ、カフェやフリースペースを設けて再オープンを果たしました。「震災前の佐藤貞商店では買物に来たお客さんと、そのまま1時間くらいおしゃべりしていく光景が当たり前でした。そんな交流が生まれる空間にしたいと思っています」と雅裕さんは言います。

木の温もりを感じられるカフェの自慢のひとつが、保健師でもある由理さんが手作りする「日替わりランチ」(800円)。厚生労働省などが推進する「健康な食事・食環境認証制度(通称・スマートミール)」にも認証されており、減塩や栄養バランスに配慮した体にやさしいメニューが楽しめます。由理さんは「せっかくならおいしく食べて健康になってもらいたいので、地域の旬のものなどを中心に、主菜や副菜のバランスが良いメニューを心掛けています」と話します。また、食事メニューでは昔ながらの味わいが楽しめる「GEN特製ナポリタン」(800円)も人気です。

デザートでは、女川町に工房を構える「お菓子Laboリッシュ」が作る「GENのブリュレチーズケーキ」(650円)もリピーターが多い一品。これを目当てに県外から訪れる方もいるそう。女川町のおいしい水を南部鉄器で沸かし、丁寧に淹れる「GENオリジナルブレンドコーヒー」(450円)とも相性抜群です。

また、店舗に隣接する約20畳のフリースペース「KIKI」では、地元の方のお茶飲みの場に、ヨガやストレッチ、英会話教室など、様々な形で利用されています。由理さんは「お子さん連れのママたちがここで子どもを遊ばせながら、カフェのランチやコーヒーを飲むこともあるんですよ」と教えてくれました。

雅裕さんは「ゆっくりと一人でコーヒーや料理を味わったり、私たちと会話を楽しんだり、お客さん次第で自由に過ごしてもらえればうれしいですね」と想いを明かしてくれました。

なお、お店の営業は月・火・木・土曜日は10時から18時まで、水・金曜日は21時までとなっており、日曜日・祝日はお休みなのでお気をつけください。

小さな珈琲屋さんGEN(佐藤貞商店)

宮城県牡鹿郡女川町宮ヶ崎字宮ヶ崎204-4[ 地図

●お問い合わせ

Tel. 0225-25-4886

自家醸造ビールで楽しい時間を!
「ガル屋beer」

女川駅前にあるテナント型商業施設・シーパルピア女川の一角に、店内で醸造するクラフトビールを味わえるブリューパブ「ガル屋beer」があります。ビール造りを行っているのは女川町出身の木村さん。東京のIT会社に勤務していた木村さんは、地元の復興に貢献したいと女川町にUターンすることを決めたそうです。その際、以前からはまっていたビールを楽しめる店にしようと考えたと言います。

「当時はクラフトビールではなく地ビールと呼ぶのが一般的でしたが、様々な種類や味わい、技法といった個性があり、しっかり造られているものは本当においしかったんです。また、ビール好きは一杯を飲むために遠くまで足を運ぶイメージもあって、魚介類以外でも女川に人を呼び込めるのではないかと思いました」。

そう決意した木村さんは東京のブリューパブでビール造りや店舗経営の経験を積み、2014年に仮設店舗をオープン。2015年に現在の場所に移転し、その後、2021年から店内で醸造したビールを「女川クラフトビール」として提供しています。

常時3~5種類ほど用意されている女川クラフトビールは、フルーティーな香りが広がり、爽やかでほのかな苦味の飲み心地が楽しめるペールエールがベース。醸造する樽ごとに麦芽やポップ、酵母などを調整しているため、毎回異なるおいしさを楽しむことができることから、「お気に入りの一杯を探してほしいですね」と木村さんは話します。「ビールが主役ではなく、お客さんの会話やコミュニケーションを主役にしたいと思っているので、誰でも飲みやすいペールエールにしているんです。それに食べ物の持ち込みは自由なので、地域のおいしいものと一緒に楽しんでほしいですね」と教えてくれました。また、お店では瓶の女川クラフトビール(500ml 990円)をお土産として購入することもできます。

フードでは石巻産の「鹿肉と牡蠣のソーセージ」(1,300円)など、周辺地域の素材を使ったメニューを提供することも。週末などには、女川町内外の飲食店とコラボレーションしたイベントも開催しています。「お客さんがこの店の個性や雰囲気を形作ってくれると思っています。これからも地元の人や観光客、仕事で訪れた人たちが気さくに楽しく交流できるような空間にしていきたいですね」と木村さんは話してくれました。

ガル屋beer

宮城県牡鹿郡女川町女川2-60 シーパルピア C-13[ 地図

●お問い合わせ

Tel. 090-9534-9979

島の恵みをサウナで体感!
「JUURI SAUNA」

女川町の沖合に浮かぶ出島(いずしま)。三陸復興国立公園にも指定されている自然豊かなこの島に、2024年12月、住民の60年越しの夢だった「出島大橋」が開通しました。それまで本土と出島を結ぶのは1日3便の定期船のみでしたが、出島大橋の開通により、女川駅から車で15分ほどでアクセスできるようになりました。

同じく2024年12月、この島に誕生した話題のスポットが「JUURI SAUNA(ユーリサウナ)」です。「JUURI」とはフィンランド語で「根」を意味し、施設は島の森と海と人を繋ぐ「根っこ」になることを目指しています。

ログハウスの本格的なサウナ小屋に設置されたストーブは、サウナの本場・フィンランド伝統の蓄熱式。薪の火を落とした後も12~16時間はサウナストーンの余熱だけで楽しめ、フィンランドのスモークサウナのような、身体の芯からじんわり温まる蒸気浴が体験できます。

水風呂には、使われなくなった醤油樽や、かつて漁師さんが水揚げの際に使っていたスカイタンクを再利用し、出島の地下水を汲み上げています。サウナや水風呂のあとは、大自然の中での外気浴へ。ウッドデッキから海を眺めたり、森の中のハンモックでゆられたり、開放的な雰囲気の中で、体と心をゆっくり整えることができます。

JUURI SAUNAでは、管理が行き届いていない杉林を間伐するなど、出島の森林を豊かにする活動を行っています。間伐材はサウナの建材やサウナストーブの薪として使用。薪を燃やした後に出る灰は森に撒かれ、土壌を豊かにすることで、その栄養がやがて海にも届きます。また、日差しが地面まで届き、様々な植生が育まれるようになりました。

サウナ後の楽しみのひとつが、サウナ飯。出島沖で水揚げされたタコを使った「タコ飯」や、スパイシーなメキシカンタコスなど、メニューが充実しています。サウナから水風呂、外気浴、サウナ飯まで。JUURI SAUNAで、女川の自然の恵みをまるごと体感してみてはいかがでしょうか。

JUURI SAUNA

宮城県牡鹿郡女川町出島字別当浜2-33​[ 地図

HP:https://juurisauna.com

●お問い合わせ

Instagram:https://www.instagram.com/juuri_sauna/

ホヤやジビエ料理が自慢
「洋食レストランりぼん」

女川駅前のテナント型商業施設「シーパルピア女川」で営業している「洋食レストランりぼん」は、ナポリタンやハンバーグなどの洋食の定番メニューをはじめ、ホヤとジビエという女川ならではの食材を使用した料理が評判の洋食店。ここでしか味わえない一品が楽しめるお店として、町民や観光客に親しまれています。

店主の山田さんは女川町出身。仙台市内の飲食店で料理人として働いていた時に東日本大震災が発生し、さまざまな縁から女川町へUターンし、2014年に町民野球場にあった仮設住宅団地内でコンテナ店舗として「洋食レストランりぼん」をオープン。当時、町内にはなかった洋食店は地元の人たちに大いに喜ばれました。

そして、2016年からは現在のシーパルピアでの営業をスタート。「店舗が広くなり、これまで以上に頑張らなければいけないと、地域の特産であるホヤを使ったメニューを押し出すことにしました。仮設の時から好評だったホヤパスタ(1,100円)に加えて、ホヤピザ(1,000円〜)なども提供し始めました。そして、もっと地元の自然と向き合った料理がしたいと感じるようになりました」と山田さんは話します。

そんな山田さんがジビエに興味を持つようになったのは、2019年に石巻産の鹿肉と出会ったことから。その後、コロナ禍で店舗を休業していた2020年秋、猟師の知人に誘われて狩猟に同行したことをきっかけに、2021年7月には正式に狩猟免許を取得。地域の自然や獣害などについて理解を深め、今では自ら捕獲した鹿肉をお店で提供することもあります。

石巻の加工場で丁寧に下処理された鹿肉は驚くほど臭みがなく、ジューシーで旨味たっぷり。鹿の背ロースを使用した「鹿肉のロースト」(2,000円)やイノシシ脂を練り込んだ鹿肉100%のハンバーグがのった「鹿肉バーグプレート」(1,800円)、「自家製鹿ソーセージ」(900円)などで味わうことができます。

また、「黒毛和牛の自家製ローストビーフ丼」(1,600円)や「魚介のトマトオリーブパスタ」(1,300円)といった本格的な洋食、食後にぴったりのデザートなど幅広いメニューがずらり。おしゃれな空間で多彩なおいしさを堪能することができます。

洋食レストランりぼん

宮城県牡鹿郡女川町女川2-60 シーパルピア A-7[ 地図

Instagram:https://www.instagram.com/ribon.onagawa/

●お問い合わせ

Tel. 0225-25-7490

優しいおいしさのスパイスカレーがやみつき
「Blue Coral Reef(ブルーコーラルリーフ)」

女川駅前に位置し、個性豊かな店舗が集まる「地元市場ハマテラス」にオープンしたスパイスカレーの専門店「Blue Coral Reef(ブルーコーラルリーフ)」。店内に入ると食欲をそそるスパイスの香りに包まれます。

同店をオープンした店主の若槻さんは茨城県出身で、20年以上にわたって大手飲食チェーンで商品開発に携わっていたといいます。「自分の店を持つという夢を実現するため、ただの復興で終わらないまちづくりに惹かれて女川町に移住しました」と話してくれました。

若槻さんが長年培ってきたノウハウを活かして手作りするカレーの特徴の一つが、店名にもある「珊瑚礁(Coral Reef)」を思わせる鮮やかな見た目。青い海と空が広がる女川の開放的な雰囲気にもぴったりです。もちろん、味わいにもこだわっており、ルーはスパイスを独自で配合し、丁寧に鶏や牛を煮込んで取ったブイヨンから丁寧に手作りしています。また小麦粉は不使用、添加物や化学調味料も極力使わず、素材を活かしているため、味わいは優しく、胃にもたれないカレーになっています。

常時5種類ほどのスパイスカレーのメニューの中で人気なのが「骨付きチキン ランチセット」(900円)。圧力鍋でホロホロになるまで、じっくり煮込まれたチキンと玉ねぎやトマト、スパイス、ヨーグルトが絶妙にマッチ。チキンの旨味とスパイスの豊かな香りがやみつきになる一皿です。

付け合わせのインドのピクルス・アチャールも彩り豊かで、カレーの口直しにぴったり。カレーにかけたり、混ぜると味や食感の変化を楽しめます。さらにドリンクには自家製のラッシーやチャイ(各300円)を用意。食事中や食後の一杯におすすめです。

なお、これまでは週末と祝日のみの営業でしたが、お客さんの声に応えて2025年4月から平日の営業もスタート。「地元の人々に愛されるお店にしていきたい」と話す若槻さんの想いが詰まった一皿を堪能してみてはいかがでしょうか。

Blue Coral Reef(ブルーコーラルリーフ)

宮城県牡鹿郡女川町女川2-66 ハマテラス8[ 地図

●お問い合わせ

Tel. 090-9426-5752

誰もが思い思いに過ごせる
「女川町海岸広場」

女川駅から延びるレンガ道を抜けてすぐ、目の前に女川湾が広がる開放的なロケーションにある「女川町海岸広場」。約4.3万m²を誇る敷地内には、「マッシュパーク女川」や「スケートパーク」などが整備されているほか、「東日本大震災遺構 旧女川交番」も残されています。

「マッシュパーク女川」は子どもたちに大人気の公園。海から遊びに来た生きものたちをイメージした「遊べるアート」として、カラフルな遊具が設置されています。

公園のシンボルである「うみうしくん」には大きな滑り台やトンネルがあり、遊び方はいろいろ。かがみアートの「ひとでくん」は陽の光で地面に映る星形の影が動き、時間の流れや自然とのつながりを感じられるなど、子どもたちの感性をくすぐるユニークな仕掛けであふれています。

2020年12月には「スケートパーク」が完成。スロープやカーブなどのセクションが設けられている本格的なコンクリート敷きで、スケートボードやローラースケートのほか、自転車のBMXなどでも使用でき、愛好者が思い思いの滑りを楽しんでいます。取材時には、潮風を受けながらキックバイクで汗を流す子どもたちの姿も見られました。

さらに女川町海岸広場にはもう一つ特別な場所があります。東日本大震災で倒壊した姿のまま残されている「旧女川交番」です。津波の引き波で土台ごと横倒しになったと考えられている建物からは災害の威力を感じ取ることができ、周囲には震災前後の地域の様子や復興の歩みを伝えるパネルの展示も。過去を知り、未来への教訓を学ぶことができる遺構になっています。

女川町海岸広場

宮城県牡鹿郡女川町海岸通り1番地他[ 地図

●お問い合わせ

Tel. 0225-24-8118(女川みらい創造株式会社)

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