Vol.064

自然の恵みと、人の営みが大切に育まれてきた山元町。いちごに代表される豊かな食、仙台藩の文化を今に伝える歴史、そして過去の経験を未来につなぐ学びと備え。そんなスポットを巡りながら、この町ならではの魅力と、歩んできた時間に触れてみませんか。
※記載の情報が現況と異なる場合がございます。お出掛けの際には事前にご確認ください。
※価格はすべて税込です。
温暖な気候に恵まれ、東北有数のいちごの産地として知られる山元町。東日本大震災で壊滅的な被害を受けたこの地で、「復興を進めていくために、いちご栽培を一日も早く再開させたい」という強い思いから、震災からわずか3カ月後の2011年6月に会社を立ち上げ、同年8月より建設が始まったのが観光農園「山元いちご農園」です。
農園では、例年12月から6月中旬にかけて、40分間食べ放題のいちご狩りを開催。2025~2026年シーズンは、「もういっこ」「すず」「にこにこベリー」「とちおとめ」など、最大7種類のいちごを食べ比べることができます。
敷地内に点在する10棟のハウスでは、最先端の技術と徹底した管理体制でいちごを栽培。その日最もいちごの状態が良いハウスへ案内され、いちご狩りを存分に楽しめます。いちごは高設栽培されているため、立ったままの楽な姿勢で摘み取りができ、土で足下が汚れる心配もありません。
また、農園のショップでは、とれたての新鮮ないちごを直売しており、タイミングが合えば、希少な“白いちご”に出会えることも。いちごの風味を生かした加工品も豊富で、甘みをぎゅっと閉じ込めた「いちごジャム」や「いちごチップス」、子どもから大人まで楽しめるいちごのお菓子などが並びます。
ショップに併設されたカフェ「Berry Very Labo(ベリーベリーラボ)」では、農園のいちごをふんだんに使ったスイーツをはじめ、ここでしか味わえないオリジナルメニューを提供しています。
「山元ツリーいちごパフェ」(1,200円)は、見た目の華やかさと満足感のある食べ応えで一番人気。大きないちごが丸々1個入った「桜大福」(390円)、凍らせたいちごを贅沢にそのまま削った「まるごといちごかき氷」(720円)などもおすすめ。ランチタイムには「特製いちごカレー」(1,000円)や「特製いちごピザ」(1,200円)など、意外性のあるメニューも好評です。
さらに、いちご狩り以外の体験型コンテンツも充実。バームクーヘンの生地を自分たちで巻き、焼き上げる「バーム焼き体験」や、併設されたワイナリーでは醸造スタッフの案内による見学も可能。いちごを使ったワインができるまでの工程を間近に見ることができます(バーム焼き体験、ワイナリー見学、は事前に予約が必要。予約や詳細はHPでご確認ください)。山元いちご農園で、いちごの魅力を五感で堪能してみてはいかがでしょうか。
宮城県亘理郡山元町山寺字稲実60[ 地図 ]
HP:http://yamamoto-ichigo.com/
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Tel. 0223-37-4356
JR常磐線・山下駅から車で約3分。2023年1月にオープンした「濃厚タンメン トミー」は、宮城県では珍しいタンメン専門店です。
看板メニューは「濃厚タンメン」(880円)。こだわりのスープは、圧力鍋の寸胴で豚骨と鶏ガラをじっくり炊き出し、そこに豆乳を加えることで、濃厚でありつつあっさりとしたクリーミーな味わいです。麺は濃厚なスープにぴったりのもちもち食感の太麺。さらに香ばしく炒めたシャキシャキ野菜を加えることで、野菜の甘みと香ばしさがスープに溶け込み、スープ・麺・野菜の一体感が感じられる、一度食べたらやみつきの一杯に仕上がっています。
タンメンは味のバリエーションも豊富です。8種類の食材で作った自家製ラー油を効かせた「辛タンメン」(900円)は、辛さレベル(小辛・中辛・大辛・辛激)を選べて、ファンの多い一品。仙台味噌を使用した「味噌タンメン」(880円)は、まろやかな口当たりが楽しめます。
また、中華そば(820円)やお子様ラーメン(380円)といったタンメン以外のラーメンも用意されており、その味わいごとに太麺・平打ち麺・ストレート麺が使い分けられています。
さらに、タンメンと合うように作られたサイドメニューも充実しています。「焼餃子」(440円)や「炒飯」(660円)といった定番メニューをはじめ、サクサク食感がくせになる台湾唐揚げ「大鶏排(ジーパイ)」(580円)も人気。テイクアウトも可能で、炒飯の上にジーパイを乗せた「大鶏排炒飯」(880円)などテイクアウト限定メニューもおすすめです。
絶品のタンメンやサイドメニューを、ぜひ店舗やご家庭で味わってみてはいかがでしょうか。
宮城県亘理郡山元町山寺新清水34-2[ 地図 ]
HP:https://noukoutanmen-tommy.com
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Tel. 0223-36-7112
仙台藩伊達家ゆかりの茶室として唯一現存する、山元町指定文化財「大條家茶室 此君亭」。東日本大震災による地震被害で存続の危機に直面しましたが、クラウドファンディングなどの支援を受けて修復が進められ、2024年11月に修復が完了。以降、一般公開が行われています。
この茶室は、天保年間(江戸時代後期)に創建されたと推定され、伊達家28代・伊達斉邦(だて なりくに)が、1832年に重臣・大條道直(おおえだ みちなお)に与えたものとされます。大條家は、室町時代に伊達家から分かれた名門の一族。1616年には伊達政宗より亘理郡坂本(現在の山元町坂元)を与えられ、以後およそ250年にわたり、この地を治めました。
拝領当時、茶室は仙台市川内地区の大條家屋敷内に建築されましたが、1888年の屋敷移転に伴い同市内の支倉地区へ移築。その後、1932年に大條家の拠点であった「坂本要害三ノ丸跡」へ移築され、現在に至ります。敷地内には、藩政時代に要害だったことを思わせる蓑首城(みのくびじょう)大手門の骨組みも残されています。
大手門の先に佇む茶室は 木造平屋建で、三畳台目・四畳半・ 十畳の三間で構成されています。
天井に襖紙が貼られている造りなどから格式が高い茶室であることがうかがえ、仙台藩の茶の湯文化を今に伝えています。
なお、外観はいつでも見学できますが、内部の公開は一般開放日のみとなります。日程は山元町歴史民俗資料館のWebページ(https://www.town.yamamoto.miyagi.jp/site/museum/28445.html)よりご確認ください。
宮城県亘理郡山元町坂元字舘下119-2[ 地図 ]
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Tel. 0223-37-0040(山元町歴史民俗資料館)
1964年の開校以来、地域とともに歩み、長く愛されてきた中浜小学校。1989年に建て替えられた校舎は、敷地全体を約2メートルかさ上げし、住民の避難を想定した外階段を3カ所に設けるなど、津波や高潮への備えが施された構造でした。その備えは、東日本大震災の発生時、校舎にいた児童・教職員・保護者あわせて90人の命を守ることにつながりました。
震災後、中浜小学校は内陸部にある坂元小学校との統合により、2013年に閉校となりました。しかし山元町は、この校舎が宮城県南部に残る唯一の被災建築物であることを重く受け止め、保存と活用を決断。大津波の痕跡をできる限り残したまま、震災の教訓を風化させることなく伝える「震災遺構」として整備し、2020年9月から一般公開されました。「被災したままの状態で見学者の立ち入りを伴う公開を法的に可能とした遺構保存の手法」などが高く評価され、2020年にグッドデザイン賞を受賞。さらに、自然災害への防備に寄与する優れたデザインとして、グッドフォーカス賞[防災・復興デザイン]も受賞しました。
校舎の1階は、被災した当時の様子をそのまま見られるようにした見学通路になっています。
2階の音楽室や図書室は展示室として活用され、震災当日の映像や証言、かつての町並みや災害情報、学校の記憶を伝える展示が並びます。災害時にどのような判断や行動が求められるのかを、立ち止まって考えることができます。
また、屋上へ上がると、海を望むことができます。震災当時90人が実際に避難し、翌朝自衛隊のヘリコプターに救助されるまで一夜を過ごした屋根裏の倉庫も、当時の状態のまま残されており、見学が可能です。
随所に地震や津波の痕跡が残されている校舎は、語り部ガイドによる見学も可能(予約制)。当時の状況や判断の背景について、話を聞きながら巡ることができます。
宮城県亘理郡山元町坂元字久根22-2[ 地図 ]
HP:https://www.town.yamamoto.miyagi.jp/site/ruins-nakahama/
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Tel. 0223-23-1171
山元町は、「中浜小学校」をはじめとする震災遺構を通して過去の教訓を学べるまちであると同時に、これから起こりうる災害に備えた防災のまちづくりにも力を入れています。その施設のひとつが「山元町防災拠点・坂元地域交流センター(ふるさとおもだか館)」です。
この施設は、「町民の安全・安心を守る防災拠点」と「地域に親しまれる交流拠点」という二つの役割を担い、2017年8月に開所しました。東日本大震災で甚大な被害を受けた坂元地区において、地域コミュニティ再生の核となることを目的に整備されています。
愛称の「ふるさとおもだか館」は、坂元中学校の生徒たちが考案した中から選ばれたもの。「おもだか」は水生植物の一種であると同時に、かつて坂元一帯を治めた大條家(おおえだけ)の家紋にも用いられており、「結束」「団結」「繁栄を願う」という思いが込められています。
建物は長方形と正方形をずらして重ねたユニークな構成で、中心には吹き抜け階段を配置。自然光をたっぷりと取りこみ、明るい雰囲気の空間を生み出しています。
現在は、地域住民が集い、学び、交流するための多機能な施設として活用されています。館内には、防災研修室や会議室、調理室、和室などが整い、地域活動や講習会、世代を超えた交流の場として幅広く利用されています。
イベントスペースには、子ども用のクライミングウォールが設置されているほか、展示パネルやスクリーン投影、音響設備を備えています。
また壁一面に本棚が並ぶ図書コーナーもあり、奥にはカーペット敷きのスペースが設けられるなど、子どもから高齢者までゆったりと過ごせる工夫がなされています。
一方で、非常時には防災拠点としての機能を発揮。自家発電装置や備蓄機能を備え、住民の避難や情報共有の拠点として活用することができます。防災拠点でありながら、日常のにぎわいや学び、交流を育む場として、地元の人々に親しまれている施設です。
宮城県亘理郡山元町坂元字町東1-60[ 地図 ]
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Tel. 0223-38-0301
坂元地区のふるさとおもだか館に続き、町内2つ目の防災拠点として2017年10月に誕生したのが、JR常磐線・山下駅の目の前に立つ「山元町防災拠点・山下地域交流センター(つばめの杜ひだまりホール)」です。愛称は、2016年当時の山下中学校(現・山元中学校)の生徒のアイデアから生まれたもので、「ここを利用する人の心が、ひだまりのようにあたたかくなる場所であってほしい」という願いが込められています。その名のとおり、館内には世代や目的を問わず利用できる、明るく開放的な空間が広がっています。
研修ホールや会議室、調理室、和室、音楽練習室、リハーサル室などを備えた多機能な交流施設として活用されています。文化活動や地域の集まり、子どもから高齢者までの学習・趣味の場として、日々さまざまな活動が行われており、図書コーナーや学習スペースなど、気軽に利用できるフリースペースも整っています。
1階の「屋内イベント広場」は、ガラス越しにウッドデッキとつながる明るい交流空間。木製床のやわらかな質感が、イベント時はもちろん、日常のちょっとした休憩や待ち合わせにも心地よい雰囲気を生み出しています。
また、120席の可動階段席を備えた「文化研修ホール兼軽運動場」は、コンサートや演劇、発表会など幅広い用途に対応。災害時には約220人を受け入れる避難室として機能します。
同じく1階には、防災拠点ならではの「防災情報コーナー・ギャラリー」を設置。東日本大震災当時の状況や復興の歩みを、映像・写真・パネルなどで紹介しています。震災から10日後に立ち上げられ、地域の人々を支えた臨時災害放送局「りんごラジオ局」の看板など、貴重な資料も展示されており、災害の記憶や教訓を次の世代へ伝える場となっています。大規模災害時には、情報発信の拠点として地域に必要な情報を共有できるようになっています。
2階の図書・パソコンコーナーは、静かに読書や情報収集ができる落ち着いた空間。3階には、活動発表や自主学習、待ち合わせなどに使える交流情報・学習コーナーのほか、音楽・演劇・ダンスの練習に対応したリハーサル室を備えています。さらに屋外テラスは、開放感のある憩いの場になっています。
日常の交流の場であると同時に、防災教育や非常時の避難拠点としての役割も担う「つばめの杜ひだまりホール」。山元町の暮らしのすぐそばで、人と人をつなぎ、安心を支える存在となっています。
宮城県亘理郡山元町つばめの杜1-8[ 地図 ]
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Tel. 0223-37-5592
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